歌丸師匠が批判したアキラ100%の裸芸は、果たして「芸」ではないのか?

6月16日、肺炎による呼吸不全で入院していた桂歌丸師匠(80)が退院し、集まった報道陣に対して「言っちゃ失礼ですけど、裸でお盆持って出てきて何が芸なのか?」と現在ブレイク中のお笑い芸人、アキラ100%さん(42)の裸芸を「芸ではない」と批判されました。そして「日本の言葉を使って笑いを取るのが芸人であり、我々噺家だと思います」と見た目ではなく言葉で笑わせるのが芸であるという噺家、芸人としての自身のポリシーを語られました。
歌丸師匠が高座へ復帰し、鼻から酸素を送るチューブを装着しながらも、全く息切れせず、弱々しさも無く、通常通りに約20分の「つる」という古典落語の一席を披露している姿には非常に感動と感心をさせられましたし、これが「芸」だ!と言われたら認めざる終えないなとも思いました。

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裸芸は日本の伝統芸?

しかしアキラ100%さんの裸芸は、果たして「芸」ではないと一刀両断していいものなのか?という疑問も同時に感じました。なぜならアキラ100%さんがやっている股間をお盆で隠す「裸芸」は、今に始まったことじゃなく、落語よりも昔からある日本の伝統的な芸の一つと言っても過言ではないからです。

古事記や日本書紀にも

裸芸についてリサーチして見ると、何と古事記や日本書記の天照大神とスサノオノミコトの逸話の中にアキラ100%と似たような裸芸に関する記述があるのです。
アマノハタオリメという姫が不慮の事故で亡くなったショックで岩屋戸に引き篭もってしまったアマテラスをオモイカネという神が、アマノウズメという豊満な肉体を持つ女性に頼んで岩屋戸の前で桶で伏せた裸踊りを見せ、引き篭もるアマテラスを外へ出したという趣旨の話が載っています。
こういった話などを知ると、桶で大事な部分を隠しながら裸で芸をして楽しませるのは、ある意味日本古来からの伝統芸の一つとも考えられます。ですから歌丸師匠がアキラ100%さんの裸芸に関して、そのネタの内容についての批判ではなく、「裸=芸じゃない」という考えならば、少々モノの見方が浅薄なのではないか?という気がしてしまいます。

昔は裸芸を使ったCMも

実は個人的にアキラ100%さんの「全裸刑事」を初めて観た時、皮肉にも大御所落語家が風呂桶で股間を隠して歌うCMを思い出しました。上方落語界の大御所で、噺家としての腕はあの故立川談志師匠にも認められている桂文珍師匠(68)が、86年にやっていたキンチョーの「おふろどんと」のCMで、Mr.オクレさん、石井光三さんと共にサラリーマンやOLが仕事をするオフィスの真ん中で全裸で両手に風呂桶を持って股間を隠しながら、3人で歌うCMは当時話題になりました。
あれは、CMの演出であり文珍師匠の持ちネタではありませんが、股間を両手の桶で交互に組み替えて隠すという動きを観た時に子供ながらに「なるほど!」と思った記憶がありますし、実際に銭湯などでケロヨンの桶を両手に持ってマネした記憶もあるほど当時話題になりました。あのCMを歌丸師匠が観たら何て言うのかが気になります。

まとめ

やはり芸というモノの定義は大変難しいですね。
結局個人の主観や生理的に受け付けないという事が大きく左右されます。
これは、アートか?ワイセツか?
これは、ロックか?ポップスか?
大谷選手は、ピッチャーで行くべきか?バッターで行くべきか?などと同じように専門家や同業者でも真っ二つに意見が別れる問題ですので、歌丸師匠という偉大な落語家の批判が正しいか正しくないかは、結局「時が解決する」としか言えません。

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