キングオブコントで巨大なインパクトを残した「にゃんこスター」が優勝しなかった理由

10月1日、日本一のコント師を決めるキングオブコントの第10回大会が開催されました。審査員長のダウンタウン松本人志さんを始め、さまぁ〜ず、バナナマンの計5人が審査し、最も高い点数のコンビ、グループが優勝するこの大会。中でも大会を1番盛り上げたのが7組目に登場した男女コンビ、にゃんこスターです。

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動画サイトでも見つからない!?

個人的に今回のキングオブコントの決勝進出者が発表された時、にゃんこスターを見たことがなかったので動画サイトで探したのですが見つかりませんでした。今までファイナリストに残ったメンバーは、若手であってもアンダーグラウンドでは有名な芸人が多いので、事務所ライブやイベント会社のライブ動画などでそのネタを観ることが出来るのですが、全く動画が見当たらないというのは異例でした。しかしそれもそのはず、この男女コンビは結成してからまだ5ヶ月だったのです。とは言っても2人とも新人ではなく、元々違うコンビやピンで活動していたらしいので経験は豊富で、テンションの高いツッコミ役のスーパー三助さん(34)、一切話さず縄跳びとクセの強いダンスが特徴のアンゴラ村長(23)という2人の個性がネタにピタッとハマった事で爆発的な笑いが会場に生まれたのかもしれません。

高い得点が付けられたのはなぜか?

個人的な感想として、スーパー三助さんの「もう中学生」を思わせる話し方やサンシャイン池崎さんを思わせる声の大きさ、大塚愛さんの「さくらんぼ」をBGMにして、B級アイドルっぽい風貌のアンゴラ村長さんのやけに達者なのに不気味な縄跳び芸とサビで敢えて縄跳びを使わず80年代を思わせるダサいダンスを踊る「スカし」を2回繰り返し、その状況を一から十まで説明するスーパー三助さんの野募なツッコミ、そしてオチに賢者の石のようなモノが出てきて、そこに光り輝く縄跳びが刺さっているというどんでん返し感、そのあとやっぱりその賢者の縄跳びを捨てて80年代ダンスをする天丼などは、既視感が物凄くあり、「あらびき団」を毎週食い入るように観ていた者としては、「何故こんなに大御所達が高い点数を付けているのか?」疑問でしょうがなかったのです。

一つ評価出来る点を挙げるとすれば、テンポの良い楽曲がネタの序盤から最後までかかり続けているシチュエーションで、楽曲の音に全くかき消されずに充分過ぎるくらい聴き取りやすかったスーパー三助さんのツッコミの声の通りくらいでしょうか。
しかしあのネタに天下の松本人志さんが97点を付けたのには、驚きました。

実際に見るのと映像で雲泥の差?

しかしこの事で思い出したのが、その昔、オンエアバトルなどに出ていた若手の頃のキングオブコメディをTVで観ていた時に面白いとは思うものの笑うほどではなかったのですが、或る新人の芸人ライブにスペシャルゲストとしてキングオブコメディが最後に登場し、ネタを演じていたのを生で観た時に腹を抱えて笑い転げた記憶でした。この経験で、TVで観るのとライブで観るのとでは同じネタでも伝わり方が全く違うという事を痛感したのです。まだ未熟な新人のネタを観た後にキングオブコメディが出てくるというライブ構成の関係もあるでしょうし、声の通りが若手とは全く違うというのもあります。今野さんの声やテンポや表現力と、諌めるように独特のフレーズでツッコむ高橋さんとのコントラストで会場の空気が完全に支配されるような感覚でした。そして観客の反応も違う。この観客の熱気に押されて印象が全く変わるというのも確実にあります。これはTVでは伝わらないライブならではのものだと思います。
にゃんこスターのネタもそれに似たような現象なのではないかと思いました。会場で観たら、あの空気に巻き込まれたように笑うかもしれません。
しかしその迫力はTVでは伝わらない。なので、TVを通すとネタそのものの作りを客観的に見てしまう余裕があり、結果個人的にあまりハマらなかったのだと思います。実際、視聴者の意見も賛否が分かれました。

審査員がその時どう考えて得点を付けたのか?

しかし会場で確実にウケていた「にゃんこスター」が優勝しなかったのは、やはり審査員達が「今日面白い組に1番高い点数を付ける」と言いながらも、キングオブコントという大会が世間的に説得力を維持するために果たして「にゃんこスター」が優勝で良いのだろうか?という「大会の将来性や権威」を考えた結果ではないか?と思うのです。
過去のキングオブコントの優勝者で、そのあと確実にキャリアアップしている芸人は、ばいキングの小峠さんくらいじゃないでしょうか?
その日コントが1番面白いよりも長い芸人人生でずっと通用する腕を持っているのかどうかという部分で審査員方がかなり悩んだような気がします。(その日、圧倒的に面白ければ別ですが)
野球のペナントレースとWBCのように、同じ野球でも戦い方が違うばかりでなく、普段さほど強くない国がアップセットを起こす一発勝負の怖さは、こういったコンテストでもよく起こり得ます。しかしそのアップセットをステップアップに出来なければ若手芸人さん達にとって、お笑い界の未来にとって、あまり有益では無いと思うのです。ですから個人的にネタが面白い上に、振られた時の返しも面白く、キャラクター性も充分な鎌鼬が優勝してホッとした次第です。

余談ですが、にゃんこスターさんを絶賛していた業界人の方達が5年後、いや3年後、いや1年後も変わらずに、にゃんこスターを評価しているかどうか?かつて若貴ブームに乗っかっていた女性ファンと同じようにアッサリ興味を捨ててしまうかどうか注目していきたいと思います。

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